生前贈与は早めの計画がカギ!~暦年課税、相続時精算課税、配偶者への贈与、住宅取得等資金の非課税特例、教育資金の一括贈与の非課税特例、結婚・子育て資金の一括贈与~
こんにちは、田中です。
生前贈与とは、生前に自分の財産を他人に譲ることです。これにより、相続税対策や家族への資産承継を計画的に行うことができます。

生前贈与には、多くの特例制度が用意されており、正しく使えば大きな節税効果が期待できます。
ただし、制度の選択を誤ると、かえって税負担が重くなる場合もあります。家族構成、財産の種類、将来の相続計画を踏まえて、計画的に制度を選び、うまく活用していきましょう。
贈与税の基本構造と課税方式
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、受贈者(贈与を受けた方)は贈与者(贈与をした方)ごとにそれぞれの課税方法を選択することができます。
暦年課税(毎年の贈与に対して課税)
対象期間
- 毎年 1月1日~12月31日 の間に受けた贈与が対象
贈与税の計算
- その年に受けた贈与額の合計 - 基礎控除110万円 =残額に対して累進税率(特例 or 一般)を適用
- 累進税率表で計算(10〜55%)
特例贈与と一般贈与
- 特例贈与財産:直系尊属(父母・祖父母)から18歳以上の子・孫への贈与 → 特例税率(低め)
- 一般贈与財産:上記以外の贈与 → 一般税率(高め)
相続税との関係
- 従来は3年→2024年(令和6年)から段階的に7年へ、相続開始前 7年以内 に贈与を受けた財産は、相続税計算時に相続財産へ加算
- ただし、緩和措置として、相続開始4〜7年前の贈与額については最大100万円まで非課税
- 加算するのは贈与時の価額(時価再評価しない)
- 贈与税を払っている場合は、その分は相続税から控除できる
ポイント
- 基礎控除110万円は毎年リセット
- 暦年課税は累進課税なので、高額贈与ほど税率アップ
- 相続税との二重課税は「贈与税控除」で回避
- 相続時精算課税よりも、長期的に少額贈与をコツコツする人向け
相続時精算課税
制度の仕組み
- 贈与により取得した財産について 累計2,500万円までは非課税(それを超えると一律20%課税)
- 贈与時に一定の贈与税を納め、贈与者死亡時に相続財産に合算して相続税を精算する方式
- 一度選択すると同じ贈与者から暦年課税へ戻れない点に注意
対象者
- 贈与者:60歳以上の父母または祖父母など
- 受贈者:18歳以上の子または孫(推定相続人)
選択手続き
- 贈与を受けた年の翌年 2月1日~3月15日 に「相続時精算課税選択届出書」+必要書類を提出
- 贈与者ごとに選択可能
- 一度選択すると、その贈与者からの贈与は すべてこの制度が適用(暦年課税には戻れない)
贈与税計算(令和6年以降)
- その年に受けた贈与額から基礎控除 110万円 を差し引く→ 控除後が0円なら申告不要(令和6年からの新ルール)
- 残額から 特別控除(最大2,500万円) を差し引く(前年までに使った分があれば差し引いて残額を適用)
- 控除後の金額 × 20% が贈与税額
相続時の扱い
- 贈与者が亡くなったら、相続税計算する際、生前に相続時精算課税で贈与した財産の贈与時価額を
相続財産に加算して相続税を計算 - 令和6年以降は、各年ごとの贈与額から110万円基礎控除を引いた残額を加算
- 贈与税をすでに払っていれば、その分は相続税から控除
ポイント
- 基礎控除(110万円) は毎年の贈与額に対して適用
- 特別控除(2,500万円) は累計で管理
- 相続税計算時は「贈与時の価額」で加算(時価再評価しない)
- 贈与税を払っていれば、二重課税防止のため相続税から控除
2024年1月1日以降の贈与からは、新たに年間110万円の基礎控除が創設され、110万円以下の贈与は非課税かつ申告不要になりました。

贈与税の申告・納付の注意点
- 申告期間:贈与の翌年2月1日〜3月15日。所得税とは別に申告が必要。
- 延納制度:贈与税額が10万円を超え、納付困難な場合には最長5年まで年賦払いが可能(担保・利子税が必要)。
- 申告・納付の際は、贈与者と受贈者は連帯して納税義務を負う点にも注意。
不動産を贈与された場合の追加税制
- 不動産取得には、贈与税のほかに地方税である不動産取得税が課税されます。
- 都道府県ごとの税率や軽減措置が異なるため、詳しくはお住まいの県税事務所にご確認を。
なぜ、相続時精算課税は戻れない点が“注意”と言われるのか?
あとから「やっぱり暦年課税の方が税負担少なかったかも…」と後悔しても取り返しがつかないからです。相続時精算課税制度は一見有利に見えても、すべてのケースで得になるわけではないという点があります。
10万円などの少額贈与でも、暦年課税なら非課税だけど、相続時精算課税を選んだ人は110万円の基礎控除が新設された今(2024年改正後)でも「特定贈与者からの贈与」は制度の枠の中で管理されることになります。
- 少額でも「制度に該当する贈与」ならチェックと手続きが必要
- 暦年課税なら「110万円以内は申告不要」で済む
- 細かい事務手続き、煩雑さ、税理士への費用負担などが地味に効いてくる
そもそも、なぜ制度を選ぶの?
大きな財産(たとえば1000万円以上)を早めに非課税で渡したいという希望には有効です。
- 暦年課税だと110万円/年ずつしか非課税で贈与できない
- 相続時精算課税なら、最大2,500万円まで非課税
- 使途の縛りがない(教育資金や住宅資金のような用途制限なし)
もし相続税がかからない家庭なら、相続時精算課税で先に渡すのは?
相続税の心配がない(=基礎控除の範囲内で収まりそう)なら、戦略的にとても有効です。
- 生前に渡しても、あとで相続税が課税されるリスクがない
- 老後資金に余裕があるなら、早めに子や孫に渡すことで有効活用される
- 受贈者のライフプラン(教育費・住宅・起業など)にも貢献できる

配偶者への贈与(配偶者控除)
婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産またはその購入資金を贈与する場合、基礎控除110万円に加えて最大2,000万円の配偶者控除が適用可能です。
- 対象者:婚姻期間20年以上の夫婦
- 対象財産:国内の居住用不動産 または その購入資金
- 控除額:基礎控除110万円+配偶者控除 最大2,000万円(合計2,110万円まで非課税)
- 適用回数:同じ配偶者間では一生に一度のみ
- 要件:① 婚姻期間20年以上 ② 国内の居住用不動産 or その購入資金 ③ 贈与翌年3/15までに居住開始し、その後も継続居住予定
- 申告:贈与税の申告が必要(控除を使う場合でも申告は必須)
- 相続税との関係:贈与分は原則として相続税に加算されない(相続開始前3年以内贈与加算の例外扱い)
- その他税金:不動産取得税が課税される(地方税)
メリット
高額なマイホーム贈与を非課税で可能/相続税対策になる
デメリット
要件が厳しい/一生に一度のみ/不動産取得税は別途必要
向いている人
配偶者にマイホームを移転したい場合/夫婦の資産分散をしたい場合
相続でもらえるのになぜ贈与税優遇を選択するの?
夫婦間の住まいの安定確保
- 昔は、マイホームの名義が夫単独というケースがほとんどだった
- 夫が亡くなった後、妻が高齢で相続手続きや名義変更をするのは大変だった
- 生前のうちに夫婦共有や妻名義にしておくことで、配偶者の生活基盤を早く安定させる目的である
「相続=必ずもらえる」ではない
- 相続は遺産分割協議が必要である
- 子や他の相続人が同意しない限り、不動産をまるごと妻名義にできない場合がある
- 生前贈与なら、他の相続人の同意なしで確定的に所有権を移せる
生前の資産移転を促す
- 高齢期の資産の偏り(夫名義が大半)を是正する目的である
- 生前に資産を分散しておけば、相続時の争い(遺産分割トラブル)や納税資金問題を軽減できる
相続加算の例外扱い
- 通常、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されるが、この配偶者控除分は加算されないため、亡くなる直前でも使える「駆け込み贈与」の例外である
なぜ贈与だとコストが高くなるのか
贈与でマイホームを移すと「取得時の地方税+登記費用」が相続時より重くなるため、相続で確実に自宅を取得できる配偶者にはあまり向かないのは事実です。
不動産取得税
- 贈与の場合:土地・建物とも課税(建物は固定資産税評価額×3%/土地も評価額×3%)
- 相続の場合:不動産取得税は非課税
登録免許税
- 贈与:土地・建物とも評価額×2.0%
- 相続:0.4%(圧倒的に低い)
- その他:司法書士費用も課税価格が高いほどUP
配偶者居住権
贈与で移すとコストが高いという欠点を回避しつつ、配偶者の居住権を守る制度が配偶者居住権です。
配偶者居住権は、2020年(令和2年)に始まった比較的新しい制度で、亡くなった配偶者の家に、残された配偶者が一生(または一定期間)住み続けられる権利を守る仕組みです。
メリット
住む権利が法的に守られる
- 自宅の所有権が他の相続人(例えば子)に移っても、配偶者は追い出されずに生涯住める
- 遺産分割協議で「家を売って分けたい」と言われても、居住権が優先される
相続税評価額が低くなる
- 居住権は所有権よりも低く評価されるため、配偶者の取得財産額を抑えられる=他の財産を多く取得できる場合も
- 不動産取得税は不要(相続による取得のため)
家を売らなくても済む
- 高額不動産を相続したために、他の相続人に現金を渡すために家を売る…という事態を防げる
贈与よりもコストが低い
- 登録免許税は所有権移転の0.4%(贈与だと2%)
- 不動産取得税は非課税
デメリット
売却や担保設定ができない
- 居住権は住むだけの権利なので、勝手に売ったり担保に入れたりできない
- 所有権者(例えば子)と協力しないと資産活用は不可能
建物の維持管理・修繕負担は配偶者
- 雨漏りや修繕など、住んでいる間の維持費は配偶者負担
- 固定資産税も原則配偶者負担になるケースが多い(実務上は話し合い)
所有権者とトラブルの可能性
- 子が所有権を持ち親が居住権を持つ形になるため、相続後も権利関係が複雑で、管理や売却を巡る争いが起きやすい
設定や評価が複雑
- 居住権の評価は法定式による計算が必要で、登記も必要
- 不動産の評価額や配偶者の年齢で大きく数字が変わるため、専門家の関与が必須
配偶者居住権は、配偶者控除の贈与版の欠点を回避する制度?
贈与で移すと発生する不動産取得税や高い登記費用といったコストを回避でき、住み続けられる権利だけを確保し、所有権は他の相続人に回せる仕組みなので、確かに、配偶者控除の贈与版の欠点を回避する制度と言えます。
ただし、実務上は遺産分割協議が絡むケースが多く、他の相続人の協力がほぼ必須です。しかも、居住権と所有権が分かれてしまうことで、将来の売却・修繕・管理で揉めるリスクも残ります。
配偶者居住権の相続税の割合(評価の仕組み)
- 配偶者居住権は「使用・収益権」として評価され、その評価額は所有権全体の評価額 × 居住権の価値割合で計算されます
- 一般に、居住権の評価額は所有権評価額の20~40%程度(配偶者の年齢や存続期間による)とされます
- 例えば建物の相続評価額が1億円なら、居住権は2,000万~4,000万円程度の評価
- 居住権(配偶者)=評価額の20~40%分を取得したものと見なされる
- 残りの60~80%(所有権)=他の相続人が取得したものとして評価される
- 所有権者は居住権のある配偶者が住み続けていても、相続税評価額の全額ではなく居住権控除後の土地・建物の残りの評価額に対して相続税を払います
- 所有権者は、配偶者が居住権を失う(死亡など)まで、自由に建物を使えず売却や賃貸もできない制限があるため、評価はその制限を反映した形になっています
- 評価額が下がるのはこの「使えない期間分の価値減少」を表しているわけです
居住権消滅時の権利関係
- 配偶者の死亡時(または定められた存続期間終了時)に配偶者居住権は消滅します
- そのタイミングで、所有権者は「完全な所有権者」となり、自由に売却や賃貸などが可能になります
住宅取得の際の贈与税の特例
直系尊属(父母・祖父母など)から住宅取得等の資金を贈与された場合に、一定要件を満たすと、以下の2つの特例が受けられます。
- 住宅取得等資金の非課税特例
- 相続時精算課税選択の特例
※1と2は同時に適用可能です。
住宅取得等資金の非課税特例
内容
- 令和6年1月1日〜令和8年12月31日の間に贈与された資金に適用
- 新築・取得・増改築のための金銭の贈与で、一定条件を満たせば非課税
- 非課税限度額は1人あたり以下の通り:
- 一般住宅:最大500万円
- 省エネ等住宅:最大1,000万円
主な要件
- 受贈者が贈与を受けた年の1/1時点で18歳以上、その年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)
- 受贈者は贈与者の直系卑属(子・孫など)であること
- 贈与を受けた翌年3月15日までに、贈与資金を住宅の新築・取得・増改築に使うこと
- 贈与を受けた翌年3月15日までにその住宅に居住、または居住見込みがあること
注意点
- 床面積40㎡以上240㎡以下の住宅が対象
- 省エネ住宅等は証明書の提出が必要
- 既に同特例を受けて非課税となった金額がある場合は、その分を差し引いた残額が非課税限度額となる
- 「住宅借入金等特別控除」との併用可だが控除計算時に贈与額を控除する必要あり
相続時精算課税選択の特例
内容
- 令和5年1月1日〜令和8年12月31日までに、住宅取得等資金の贈与を受けた場合に適用可能
- 贈与者が60歳未満でも、一定条件を満たせば相続時精算課税制度を選択できる
- 贈与税の納付を将来の相続時に繰り延べられる
注意点
- 「住宅借入金等特別控除」との併用可だが、控除額計算時に贈与の特例適用額を差し引く必要あり
相続時精算課税選択の特例の意味
通常の相続時精算課税制度
- 贈与者は60歳以上の父母・祖父母など(特定贈与者)に限られます
- 贈与者ごとに2,500万円までの特別控除があり、これを超えた部分は20%の贈与税がかかります
- 2,500万円までは贈与税がかからず、贈与した分は相続時に精算(加算)されます
住宅取得資金の贈与に関する特例
- この特例では、贈与者が60歳未満でも(つまり通常の要件を緩和し)、住宅取得資金の贈与に限って、相続時精算課税制度の適用を選択できるようになっています
- 適用できる上限や税率は通常の相続時精算課税と同じ(2,500万円の特別控除など)
住宅取得資金の相続時精算課税選択の特例:メリット・デメリット整理と注意点
メリット
- まとまった資金を非課税(または繰延)で贈与できるため、若い世代の住宅取得資金の負担軽減になる
- 通常の相続時精算課税と同じく、贈与税の納付を相続時に繰り延べられ、相続財産としてまとめて精算可能
- 贈与者が60歳未満でも使える特例なので、親がまだ若くても適用可能
デメリット・注意点
- 一度相続時精算課税を選択すると暦年課税には戻れない
→ その後の贈与は全て相続時精算課税のルールに従う。暦年贈与の基礎控除110万円は適用外
→ 大きな贈与が続く場合は良いが、小額贈与の繰り返しには不向き - 毎年110万円を超えた部分には一律20%の贈与税がかかり確定申告が必要
→ 住宅取得資金の場合、まとまった金額(最大2,500万円)を使うことが多いので、確定申告と納税準備が必須 - 特別受益に該当する可能性が高く、相続時のトラブル要因になりやすい
→ 住宅取得資金の贈与は分かりやすい先渡し相続として相続分調整が必要
→ 遺言書の活用や生前の話し合いで理解を得ることが重要 - 小規模宅地等の特例(居住用宅地)を使えなくなる可能性がある
→ 配偶者居住権や貸付事業用宅地等の特例は別途適用可だが、自宅用の土地に関しては評価が変わるケースもある
→ 法人所有のアパート建物や宅地の場合は貸付事業用宅地の特例適用が可能(最大200㎡まで50%減額)
追加の注意点
- 贈与税の申告漏れに注意:制度利用時は贈与税申告が必須。申告忘れはペナルティが重い
- 制度利用時の記録保管:申告書類や住宅性能証明書など必要書類はきちんと保管し、税務調査に備える
- 相続対策全体のバランスを考慮:住宅取得資金の贈与だけでなく、相続財産全体のバランスや家族構成を踏まえた計画が大切

教育資金の一括贈与の非課税特例
直系尊属(父母・祖父母など)から子や孫へ教育資金を一括で贈与する場合、1,500万円まで非課税となる制度です。
- 対象者:祖父母など直系尊属から教育資金の一括贈与を受ける30歳未満の孫など
- 期間:平成25年4月1日~令和8年3月31日
- 非課税限度額:最大1,500万円までの信託受益権等の価額が非課税
- 所得制限:非課税適用を受けるため、贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
- 手続き:
- 教育資金管理契約の締結時に「教育資金非課税申告書」を税務署へ提出(金融機関を通じて)
- 金銭の払出しや教育資金の支払に関する領収書等を期限内に金融機関へ提出
注意点:
- 贈与者が死亡した場合、相続税申告が必要な場合あり
- 30歳到達等で契約終了時、贈与税申告が必要な場合あり
- 教育資金一括贈与の相続税取扱い(最新ルール):
- 贈与者が亡くなった時点で、まだ使い切っていない教育資金の残額については、相続財産に加算されるのが原則です。
- ただし、以下のいずれかに該当する場合は、残額の相続財産加算が免除されます(=相続税の課税対象にならない):
- 贈与者の資産総額が5億円以下(※金融資産等の合計額)
- 教育資金を受け取った子・孫等が23歳未満の学生である
- 上記①②のどちらにも該当しない場合は、残額を相続財産に加算して相続税を支払う必要があります。
- また、贈与を受けた者が孫等の一親等以外の親族の場合は、相続税が2割加算されます
贈与者の資産総額5億円以下の範囲:
この「資産総額」は、主に 贈与者の課税価格の合計額 として扱われ、具体的には以下のようなものを含みます。
- 現預金
- 有価証券(株式や債券などの時価評価額)
- 不動産の評価額(路線価や固定資産税評価額など税務上の評価額)
- 生命保険の解約返戻金相当額
- その他財産(貸付金、動産など)
みなし相続財産(生命保険の死亡保険金など、相続税法上相続財産にみなされるもの)も含まれます。ただし、保険の死亡保険金(受取人が相続人の場合は相続財産加算の対象にならないため)については含みません。暦年贈与や相続時精算課税制度で贈与された財産は、相続時に加算されるため、その評価額も含めます。
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例
直系尊属(父母・祖父母など)から結婚や子育てのために一括で贈与された資金について贈与税が非課税となる制度です。
- 対象者:父母など直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受ける18歳以上50歳未満の子など
- 期間:平成27年4月1日~令和9年3月31日
- 非課税限度額:最大1,000万円までの信託受益権等の価額が非課税
- 所得制限:非課税適用のため、贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
- 手続き:
- 結婚・子育て資金管理契約締結時に「結婚・子育て資金非課税申告書」を税務署へ提出(金融機関を通じて)
- 支払に充てた領収書等を期限内に金融機関へ提出
注意点:
- 贈与者が死亡した場合、相続税申告が必要な場合あり
- 50歳到達等で契約終了時、贈与税申告が必要な場合あり
- 結婚・子育て資金一括贈与の相続税取扱い:
- 贈与者が亡くなった時点で未使用の結婚・子育て資金の残額は相続財産に加算され、相続税の課税対象となる
- 贈与を受けた者が孫等の一親等以外の親族の場合は、相続税が2割加算されます
まとめ
相続と贈与の一体課税への流れの中で、生前贈与の取り扱いは年々変化しています。今後も改正が続く可能性があるため、最新情報の確認は必須です。特例を活用する場合、税理士等専門家に相談することを推奨します。
