相続はゴールじゃない!資産を減らさず活かすために必要なこと
こんにちは、田中 です。
「相続で財産を残したから、これで安心」──そう考える方は少なくありません。でも、本当に大事なのは、残したあとに資産を減らさないことです。
相続は“ゴール”ではなく、“新しいスタート地点”。
その後の10年、20年、ご家族がどう資産を守り・活かすかで未来は変わります。

相続の入口:守りの3本柱(一次相続の基本)
相続において、まず行うべきことは「守り」です。残した資産がスムーズに次世代に引き継がれるようにすることが目的です。
なぜ「守り」が必要なのか?
相続では、残したいと思った資産がそのまま次世代に届くとは限りません。
- 相続税の支払いが間に合わなければ、資産を売却して現金化する必要がある
- 不動産ばかりだと分けにくく、家族間でトラブルになりやすい
- 名義人が認知症になると、預金の引き出しや不動産売却などの手続きが難しくなる
守りの3本柱
- 納税資金の確保(流動性)
- 遺産分割のしやすさ(分けやすさ)
- 認知症対策(凍結リスク回避)

相続はゴールではなくスタート地点
相続とは、単なる財産の移動ではなく、次の世代の生活を支えるためのスタートです。
受け取る人に必要な3つの力
- 守る力(大きな損失を避ける意識)
- 増やす力(お金に働いてもらう仕組みを理解する力)
- 減らさない力(インフレや浪費から守る習慣)
もし資産を受け取っても、インフレや運用ミスで価値が半分になってしまえば意味がありません。
たとえば、1,000万円を残したとしても・・・
- 銀行に預けっぱなし・・・物価が上がれば、実質的な価値は目減りします。
- 投資経験がない・・・資産をどう動かしていいか分からず、眠ったままになりがちです。
- 知識不足でリスクを取ってしまう・・・増やしたい一心で、詐欺や過度な投資に巻き込まれる恐れもあります。
資産の性格を整理して理解する
資産には、それぞれ“性格”があります。
- 現金:リスクは小さいが、インフレに弱い
- 株式・投資信託:変動は大きいが、長期的には成長が期待できる
- 不動産:立地や借入状況によって性格が大きく変わる
資産の性格を理解するメリット
資産の性格を把握しておくことで、次世代が資産をどう守り・活かすかイメージしやすくなります。
事例で学ぶ「守る→減らさない」
1. 現金中心の相続
ケース:父が現金3,000万円を残した
課題:インフレで実質価値が減少
学び:運用や分散で目減りを防ぐ必要がある
2. 借入ありアパートの相続
ケース:母がフルローンの賃貸アパートを残した
課題:空室が続くとローン返済が厳しくなる
学び:不動産も株式のように変動リスクがあることを理解
3. 安定収益物件+現金の組み合わせ
ケース:父が都心の賃貸物件と現金を残した
課題:長期的に安定した収益が期待できるが、インフレ対応が必要
学び:資産配分(アセットアロケーション)を次世代に伝えることが重要

不動産の位置づけをしっかり理解する
不動産は一括りでは語ることができません。株式や債券に例えると理解が進みます。
- 借入なしの不動産→ 現金や債券に近い安定資産
- 借入ありの不動産(フルローン・アパート建築など)→景気変動に左右されやすく、株式に近い
- 収益性の高い安定物件(都心の賃貸・長期契約テナントなど)→ 中リスク・中リターン、日本株や米国株に近い
- 空室リスクの高い地方RC・新築アパート→ 値動きが激しい投資商品に近い
アセットアロケーションを考える
資産の性格を整理したら、次は配分をどうするかを考えます。
- 現金だけ → インフレに弱い
- 不動産だけ → 流動性リスクが高い
- 株式だけ → 変動が大きすぎる
バランスをとるために、相続の出口は「アセットアロケーション(資産配分)」が重要になります。
ご自身やご家族の資産を「見える化」する
未来に備えるために、まずは資産を整理して可視化しましょう。
チェックポイント
- 自宅の価値と流動性
- 金融資産の種類とバランス
- リスクとリターンの割合
- 納税資金の確保状況
- ご家族の理解度
まとめ|相続は「残す」から「守る・活かす」へ
- 相続はゴールではなくスタート地点
- 本当のゴールは「残した資産を減らさない」こと
- そのためには「資産の性格」を理解することが大切
まずはご自身の資産を“見える化”して、偏りがないか確認することから始めてみてください。
これが、ご家族にとって本当に意味のある相続の形です。
